マニフェスト大賞それぞれの現場(2)北海道福島町議会

マニフェスト大賞を3大会連続で団体受賞した日本で唯一の議会、北海道福島町議会。日本中から注目される先進的な議会運営と、住民参加に苦悩する議員たちの姿を早大マニフェスト研究所が現地からレポートする。
 函館から南西に約50キロ、福島町は北海道の最南端、津軽海峡に面した海岸沿いにある。マニフェスト大賞を、3大会連続で団体受賞した日本で唯一の輝かしい町である。人口はわずか5500人。水産業を基幹産業として、「するめ」の生産量日本一を誇る。町を訪れると、日本中から注目される先進的な議会運営と、思うようには進まない住民参加に苦悩する議員たちの姿があった。
マニフェスト大賞それぞれの現場(2)北海道福島町議会|写真
海峡と横綱の里として知られる北海道福島町
 「パブリックコメントで寄せられた意見は0件、住民懇談会の意見も0件」

 住民と町をつなぐ目的で町(行政)が提案した「福島町まちづくり基本条例」の素案に対するパブリックコメントの結果を見つめながら、溝部幸基議長(61)は、「他人事ではすまされない」とつぶやいた。

 議会もこの12月、議会からの政策提案が住民に理解しやすいように、町民の議会参加を促す「福島町議会基本条例」を提案する。開かれた議会づくりを目指して、「議会情報の町民との共有」を図ってきた溝部議長は、パブリックコメントの結果に驚きを隠せなかった。

日本一開かれた議会

 北海道福島町議会(定数12)は「開かれた議会づくり」と「議会ホームページ」が評価され、第1回マニフェスト大賞審査委員会特別賞、第2回マニフェスト大賞最優秀成果賞、第3回マニフェスト大賞ベスト・ホームページ賞を連続受賞した団体。

 議会評価・議員評価、通年議会、質疑の回数制限の撤廃、説明員の反問、文書質問、傍聴人の討議への参加の試行、夜間議会の開催、議員選挙の投票の平日実施、初議会(臨時会)の土曜日開催など、議会の活性化を目指して矢継ぎ早に導入した諸施策は日本の自治体議会の最先端をいく。

 「気づいたこと、出来ることから一歩ずつ積み上げた」という改革姿勢と開かれた議会づくりを「貪欲に」進化させた点で、マニフェスト大賞審査委員会から高い評価を得ている。

 「議員評価に「目標(公約)」を加えて実効性を高め、議会の夜間・土曜開催、平日投票等を推進。第1回審査委員特別賞の「開かれた議会づくり」をさらに数歩進めた取組みが高評価を得た」(第2回マニフェスト大賞・西尾真治審査委員)

 「この10年間進めてきた「開かれた議会づくり」に沿ったホームページによる情報公開も、情報の幅広さ、質の高さ、更新スピードの点で群を抜いている。議事録、選挙公報といった基本情報の充実に加えて、議案資料の事前公開、文書質問、議会の評価、議員の自己評価などの斬新な試みが多い」(第3回マニフェスト大賞・竹内謙審査委員)

 3回の受賞で全国的な知名度も上がり、福島町議会を訪れる視察者は年々増えた。議長は「講演のため飛行機に乗る回数も増えた」と笑う。
マニフェスト大賞それぞれの現場(2)北海道福島町議会|写真
福島町役場 函館から車で約1時間
 「マニフェスト大賞を取るために議会改革をやっていると言われるくらい、(受賞の)反響は大きい」――溝部議長は受賞の影響が人口約5500人の街に広がっていることを実感している。マニフェスト大賞を後援する毎日新聞の報道はもとより、地元では販売部数が多い北海道新聞や函館新聞に受賞記事が掲載されたことや、全戸配布の議会報によって受賞のニュースは周知された。石堂一志事務局長(54)は「ほぼ全ての町民がマニフェスト大賞受賞については知っていると思う」という。

 福島町名物の「横綱するめ」を加工販売する西川水産の湯浅章社長も「議会がマニフェスト大賞をとったことで、福島町が全国的にも有名になれば」とマニフェスト大賞がもたらす効果に期待する。

議会基本条例で議会・議員評価、文書質問を制度化

 「開かれた議会」について高い評価を得た福島町議会の現場は、議会基本条例の制定に向け山場を迎えている。

 「難しくてよく分からない」
 「アクティブ型議会の意味がわからない」
 「どうして善政『競争』なのか?競争ではなく執行部と協力するべきだ」

 12月10日18時から福島町役場で開催された「『議会基本条例』に係る町民懇談会」には、議員11名、各団体から8名、一般参加者1名が集まり意見交換を行った。

※福島町議会基本条例素案はコチラ(PDF)

 「わかりやすく、町民が参加できる議会」、「しっかりと討議することができる議会」、「町民の皆さんが実感できる政策提言をする議会」を目指し、それを担保するために議会基本条例を作成する。とくに執行部との緊張関係を維持し、政策をめぐる立案・決定・執行・評価(監視)における論点・争点を議会が町民に明確に示していくことが重要と、溝部議長は強調する。

 福島町議会基本条例素案では、今まで任意であった議会・議員の自己評価、また試行していた通年議会、休会中の文書質問を制度化した。

 福島町議会は、2005年から議会と議員の自己評価制度を導入した。統一の評価指針に則り、議会評価は議会運営委員会が議会全体の活動に対する自己分析を行う。1年の反省を踏まえて、次年度はより進化した活動に改善できる。

 議員評価はそれぞれの議員自身による自己評価で、「ほぼ満足 ○」、「努力が必要 △」、「さらに努力が ▲」の3段階で採点する。議会への出席・発言回数などは議会事務局が管理しているので、正確で客観的な資料を把握できる。評価結果は「議会だより」と「議会ホームページ」で明らかにされる。

 素案12条では休会中の文書質問を明文化した。今年の試行期間中も、4名の議員が活用し、執行部から20件の回答を得た。

 執行部は質問を送付されてから10日間以内に議長宛に回答を出さなければならない。チェック機関としての効果的なツールとして石堂事務局長は大きな期待を寄せる。

 素案第5条の議会の活動原則では、傍聴者に対する意見聴取も努力規定化された。溝部議長は「議会基本条例でいかに通年議会を活性化させ、機能させるかが重要」という。福島町議会の議会基本条例は全国初の栗山町議会の議会基本条例と比べて、実用的により踏み込んだ内容になっている。12月24日に議会に提案される予定だ。
マニフェスト大賞それぞれの現場(2)北海道福島町議会|写真
石堂一志事務局長(左)と溝部幸基議長(右)
◇     ◇     ◇
マニフェスト大賞それぞれの現場(2)北海道福島町議会<目次>
■1ページ
・日本一開かれた議会
・議会基本条例で議会・議員評価、文書質問を制度化
■2ページ
・通年議会開催、手取りは月約9万円
・「開いた議会」の必要性を町民が実感できる議会へ
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