日本青年会議所東北地区青森ブロック協議会(以下JC青森ブロック協議会)では、青森県内在住の県民に対して、政治についてより関心を持っていただくための活動の一環として、次期衆議院議員選挙に向け、立候補予定者に、政治の現状や自身の政策、青森への思いについて語っていただき、広く県民に政策を公平に届ける機会を創出し、有権者自らが政策による選択が出来る様に、撮影した動画をインターネット上で配信する企画「e国政青森」を09年7月22日オープンした。
「e国政」は、衆議院議員総選挙に向け、ローカル・マニフェスト推進ネットワーク四国により、四国4県、そしてJC神奈川ブロック協議会、早稲田大学マニフェスト研究所、日本インターネット新聞社の3者により、神奈川県の立候補予定者のほぼ全員の動画が撮影、公開されていたが、JCの都道府県単位のブロック協議会単独で、全立候補予定者(09年7月22日現在15名)の動画を撮影したのは、JC青森ブロック協議会が全国初になる。
「e国政青森」配信スタートまでの思いやその取組内容を、JC青森ブロック協議会の野呂貴憲会長、千葉博之担当副会長(つよいあおもり確立グループ)、番地紀成担当委員長(JCプライド実践委員会)に話を聞いた。
――「e国政青森」に取り組んだきっかけは?
野呂会長 明るい豊かな社会の実現を目指すのが我々JCの理念です。我々、JC青森ブロック協議会でも、今年は「つよいあおもりのはっしん」をテーマに、明るい豊かな青森を創る強い使命感を持って、様々な事業を行っています。マニフェスト型公開討論会により、広く政策を聞く機会を国民(県民)に提供し、有権者として政治に対する関心や政治へ参画しようとする意識を啓発し、我々若い世代を含めた国民(県民)全体が責任を持って国(地域)づくりに参画していく機運を高めていくことも、我々の大きなミッションだと思っています。そんな気持ちもあり、当初、ブロックの事業計画では、総選挙に向けたマニフェスト型公開討論会の実践と、それに対する県内各地の青年会議所(以下LOM)の支援を掲げていました。
しかし、衆議院の解散の日程が流れ流れになる中、会場の手配、その他の事業との日程的な絡みなどで、開催が出来るか悩んでいる時に、インターネットで政治家の動画を配信する「e国政」の話を聞きました。これなら、会場手配、事前準備、日程調整等の悩みが解消されるとともに、公開討論会では実現できない、県内の有権者の人が、「いつでも、どこでも、誰でも」、インターネットにアクセスさえすれば各立候補予定者の政策や思いが聞けるという環境を県民に提供できると思い、すぐに取り組むことを決めました。
番地委員長 私もマニフェスト型公開討論会の開催を担当する委員会の委員長として、解散の日程が不確定な衆議院議員総選挙におけるマニフェスト型公開討論会開催は、頭の痛い、悩ましい問題でした。やらなければいけないことは十分分っていますが、青森県には4つの小選挙区があり、JCのLOMも8LOMあります。青森の夏は、ねぶた祭り、八戸三社大祭を始め、お祭りラッシュ、それぞれのLOMの都合もバラバラです。「e国政」の話を聞き、これなら、JC青森ブロック協議会として、全県で取り組めると思いました。
――動画撮影を始めるにあたり工夫した点は?
番地委員長 まず、野呂会長が「e国政青森」に取り組む決断をされた後、5月の末に開催された、私が委員長を務めるJCプライド実践委員会の会議に、マニフェスト研究所の研究員の方にいらしていただき、勉強会を開催しました。そもそもマニフェストとはから始まり、マニフェスト・サイクルについて、マニフェスト型公開討論会、「e国政青森」の意義などについて、委員会メンバーで勉強しました。この勉強会で、メンバーの意識は大分高まったと思います。
それから、実際に撮影する場面では、県内の1区〜4区に、「3区は八戸JC、リーダーは番地」のように、それぞれの小選挙区内LOMから出向頂いている委員会メンバーの中でリーダーを決めて、そのリーダーが責任を持って撮影するルールを徹底しました。また、委員会メンバーのメーリングリストを活用して、撮影の進捗状況、撮影時の注意点等は、情報共有しました。
――動画撮影における苦労した点は?
番地委員長 やはり一番苦労したのは、各立候補予定者の撮影スケジュールの調整です。委員会のメンバーもそれぞれが仕事を持っていますので、撮影の日程と担当者を決めるのに大変苦労しました。また、委員会メンバーの中には、政治的な絡みのあるメンバーもおり、どう協力して頂くかの部分は大変気を使った点でもありました。
それから、撮影前に各立候補予定者に、「e国政青森」の趣旨説明を行うのにも時間がかかりました。正直言って、最初は少し警戒されていたかもしれません。趣旨をご理解いただいた後は、どの立候補予定者の方もかなり協力的だったと思います。
千葉副会長 私も何件か撮影に行きましたが、公職選挙法に抵触するかどうか、各立候補予定者間の公平性は担保できているか等について、気を使いました。
野呂会長 企画の段階では、各立候補予定者の方の政策の違い、立ち位置が明確になるように、話してもらう内容を、テーマを決めて話してもらいたいと思っていました。しかし、そこまで各立候補予定者に無理も言えず、「青森の問題(課題)について必ず触れて下さい」というお願いだけをすることになってしまいました。その辺が今考えると少し残念です。
――動画撮影を終えた感想は?
千葉副会長 撮影した現場で、最初は、怪訝がられていたと思います。しかし、撮影が終了した後、全ての立候補予定者の方に大変感謝されました。青森は保守的な地域なので、インターネットの政治家動画配信ということに理解いただけるか、初めは心配していました。立候補予定者の方々の感謝の言葉や、協力的な対応には正直驚きました。政治に関心を持つ人が増えることが、その地域が良くなることにつながっていくと思います。今回参加した委員会のメンバーの中には、地域のお祭りをやっているだけがJCではない、「e国政青森」のような取組を、JCが行うことがこれから重要になると言ってくれるメンバーもいます。これからJCも公益社団法人を目指していかなければならないので、頼もしい限りです。
番地委員長 今回の動画撮影に関わった委員会メンバーは総勢21名です。全てのメンバーがやってよかったと思っていると思います。それは、明るい豊かな青森を創ることにつながる取組みだからです。JCが選挙に関わることは、以前はタブー視されていたと思います。しかし、JCとして、公平公正な立場をしっかりとれば、問題ないことだと思います。
今回、「e国政青森」として、ブロック協議会単独で、全立候補予定者の動画を撮影したのは、青森ブロック協議会が初めてのようです。やる気と自分達の暮らす地域に対する思いさえあれば、青森でも出来たのですから、どこの地域でも出来ることだと思います。
――今回の総選挙に期待することは何ですか?
野呂会長 我々も今回の「e国政青森」で、県内の有権者に、各立候補予定者の政策や思いが聞けるという環境を準備できたと思います。青森では今まで、名前や政党だけで投票していた有権者が多かったと思います。今回は、マニフェスト、政策、「e国政青森」を見て、選挙に行って欲しいと思います。そして、マニフェスト、政策で争われる歴史的な政権選択選挙になることを期待しています。
――引き続きマニフェスト運動に関わる抱負を教えて下さい。
番地委員長 青森では衆議院議員総選挙の後、10月の八戸市長選挙、来年4月の弘前市長選挙、6月の黒石市長選挙、7月の五所川原市長選挙と首長選挙が続きます。今回の「e国政青森」の取組もあり、県内のJCメンバーの、マニフェストや、政策中心の選挙に対する意識も高まってきています。まずは、本年10月の八戸市長選挙のマニフェスト型公開討論会の開催をきっかけに、次年度以降開催される首長選挙に関しても、是非マニフェスト型公開討論会を各LOMで開催できるように、担当委員長として意識高揚を行っていきたいと思っています。
早稲田大学マニフェスト研究所 客員研究員青森中央学院大学 経営法学部 専任講師
佐藤 淳
さとう あつし――1968年青森県十和田市生まれ。1992年早稲田大学商学部卒業後、さくら銀行(現三井住友銀行)入行。法人業務部門を中心に12年間勤務後退職。2006年日本社会事業大学大学院修了、社会福祉士国家資格取得。2007年早稲田大学大学院公共経営研究科修了。早稲田大学マニフェスト研究所専従スタッフを経て、現在、青森中央学院大学専任講師(担当:政治学、行政学、社会福祉)、早稲田大学マニフェスト研究所客員研究員。
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